
暗号資産の税務計算は資料から始まります:CEXとオンチェーンの「集めるべき証跡」実務ガイド
暗号資産の損益計算の第一歩は、正確な資料集めです。取引データは大きく、中央集権取引所(CEX)とオンチェーン取引に分かれます。
1. CEXのデータ取得
CSV形式での取引履歴取得
多くの取引所はCSVで全取引履歴を提供しています。対応する会計ソフトによってはAPI連携によりワンクリックで更新できる場合があり、その都度CSVを再取得しなくても済みます。
データ取得困難なケース
一方で、倒産やサービス停止、地域制限などによりデータが取り出せないことがあります。
具体例:
- FTXの破綻
- 海外取引所の日本居住者向け制限
この場合は他の資料から推計・復元する必要があり、工数が大きくなります。まず「必要なデータを本当に揃えられるか」を確認することが重要です。
また、データが取り出せなくなった場合の影響を最小限にするために、日頃から取引所から定期的にデータをダウンロードして、手元に保存しておくことも推奨されます。
2. オンチェーンのデータ取得
収集が必要な取引類型
ウォレット別・チェーン別に、以下のような取引のデータを収集します:
- スワップ取引
- LP供給・引出し
- レンディング
- ブリッジ
- エアドロップ
- NFT取引
- ネットワーク手数料(ガス)
専門ツールの必要性
取引数がある程度多い場合は、エクスプローラー等から逐一データを取得することは現実的ではありませんので、暗号資産専門の会計ソフトを使用する必要があります。
3. どの期間のデータが必要か(2025年を例に)
当年度の取引データ
2025年内の全取引(フィアット⇄暗号資産、暗号資産⇄暗号資産)の以下の情報が必要です:
- 日時
- 数量
- 単価
- 対価通貨
- 手数料等
期首残高の重要性
加えて「期首時点」の情報が決定的に重要です。すなわち2025年1月1日時点の:
- 保有銘柄
- 数量
- 取得価額
総平均法・移動平均法いずれでも、この期首残高に当年取引を加えて計算します。
期首情報欠落時の対応
期首情報が一部でも欠落している場合、そのトークンについて過去の取得・売却の全履歴(取得単価と放出数量)を遡って確定する必要があります。
したがって毎年、期首残高と取得価額を記録・保全し、即時に取り出せる体制を整えておくことが重要です。
4. 実務的な進め方
当方のアプローチ
当方では、原則として、まず、データを取り込むだけであれば無料の暗号資産会計ソフトに全データを取り込み、トランザクション件数のおおよその規模を把握してからお見積もりをご提示しています。
段階的な検討
- データ収集可能性の確認
- 取引規模の把握
- 適切なツール・手法の選定
- 作業工数の見積もり
5. 無料相談のご案内
相談内容
無料相談では、以下のようなポイントを含む個別の取引状況を伺い、データを揃える手順についてご相談に乗っております:
- 暗号資産取引の開始時期と頻度
- 利用CEX
- 取得不可能なデータ(もしあれば)
- オンチェーン取引を行っているブロックチェーン
- ウォレット数
- 件数の規模
- 主力銘柄
- NFTの有無
お申し込み
ご希望の方は下記のコンタクトフォームからご連絡ください。
まとめ
暗号資産の税務計算では、事前の資料収集が成功の鍵となります。適切なデータ収集体制を整えることで、正確で効率的な損益計算が可能になります。
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個別の取引状況に応じたデータ収集手順について、専門家が無料でご相談をお受けします。